運命の赤い糸の由来は「月下老人」。仲人を表す月下氷人の意味も
・つきしおり編集部
赤い糸は、月の下の老人が結ぶ
「運命の赤い糸」は、結ばれる二人は、生まれたときから見えない赤い糸でつながっている、という言い伝えです。この話のもとになったのは、中国・唐の時代(およそ1200年前)の物語集『続玄怪録(ぞくげんかいろく)』にある「定婚店(ていこんてん)」という話と言われます。
物語に出てくるのが、月明かりの下で本を読んでいた老人です。この老人は「月下老人(げっかろうじん)」と呼ばれ、のちに縁結びの神さまとして親しまれるようになりました。
「定婚店」のあらすじ
韋固(いこ)という若者が、結婚相手を探していたころのことです。旅先の町で、月明かりの下、袋にもたれて本を読んでいる老人に出会いました。老人は、自分は人の世の結婚をつかさどる者だと言い、袋の中の赤い縄を見せます。この縄で男女の足を結べば、どんなに遠く離れていても、家がらがちがっていても、いつかは夫婦になるのだと。
韋固が自分の相手をたずねると、老人は、市場で野菜を売る老女が抱いている、3歳ほどの女の子だと答えました。気に入らなかった韋固は、召し使いにその子を傷つけさせようとし、召し使いは女の子の眉間に傷を負わせて逃げてしまいます。
それから14年後。役人になった韋固は、上司の家の娘と結婚しました。妻はいつも、眉のあいだに花の飾りをつけています。わけを聞くと、幼いころ市場で刃物で傷つけられた跡を隠しているのだと言いました。老人の言ったとおりだったのです。この話を聞いた町の人たちは、その宿を「定婚店」と呼ぶようになったと伝えられます。
少しこわい話ですが、結ばれる縁は人の思わくではほどけない、という話として読まれてきました。
足首の縄が、小指の糸に
物語の中で結ばれていたのは、足首でした。それが日本で語りつがれるうちに、小指に結ばれた糸として語られるようになったと言われます。約束のときに小指をからめる「指切り」と結びついた、という見方もあります。
日本では、『古事記』の三輪山の話も、糸と縁の話として紹介されることがあります。娘が、夜ごと通ってくる男の着物のすそに、糸を通した針を刺しておき、翌朝その糸をたどっていくと、三輪山の神さまのもとに着いた、という話です。
仲人を表す「月下氷人」
月下老人は、今も中国や台湾で縁結びの神さまとして親しまれています。台北の霞海城隍廟(かかいじょうこうびょう)のように、月下老人をまつるところには、縁結びをねがう人がたくさん訪れます。
「月下氷人(げっかひょうじん)」は、結婚の仲立ちをする人、つまり仲人のことです。月下老人と、別の話に出てくる「氷人」を合わせた言葉です。
氷人の話は、中国の歴史書『晋書』にあります。令狐策(れいこさく)という人が、氷の上に立って、氷の下にいる人と話をする夢を見ました。夢を読み解く名人の索紞(さくたん)は、「氷の上は陽、氷の下は陰。陽と陰のあいだで話をするのは、結婚の仲立ちをするしるし。氷がとけるころに、縁談をまとめることになるでしょう」と答え、そのとおりになったと伝えられます。
今では結婚式のあいさつや手紙で見かけるくらいの、少しあらたまった言葉です。それでも、月の下で縁が結ばれるという考え方は、千年以上も語りつがれてきました。
月を見上げて、ご縁を思う夜に
赤い糸は目に見えないので、だれとつながっているのかはわかりません。わからないからこそ、焦らずに、今の自分を大切にしながら待つ、という受け取り方もできます。
新月の夜にねがいを書くなら、相手を決めつけるより、「こんなふうに過ごせる人と出会いたい」と、過ごしたい時間を書いてみるのもおすすめです。言葉の例は恋の新月ねがいごと 文例30にまとめました。
しおりの子より赤い糸は見えないけれど、月の下でだれかが結んでくれている。そう思うと、少し気が楽になるね。
今日のねがいの言葉
わたしは、出会う人とのご縁を、ゆったりと待っている。
このことばをつきしおりに書く書いたねがいを、毎日そばに
「つきしおり」は、新月にねがいを書き、満月に叶ったことを確かめる画面のある、紙の帳面のようなアプリです。書いた言葉は、朝と夜に一枚ずつ届きます。